JROADHF研究班では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院循環器内科では、現在心不全の患者さんを対象として、心不全医療の適正化に関する「臨床研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会をはじめとし、全国で無作為に抽出された病院・施設において、各施設あるいは研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成31年3月31日までです。なお、本研究は、日本循環器学会および日本心不全学会の支援をうけております。
人口の高齢化や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に伴う冠動脈疾患の増加、さらに急性冠症候群に対する急性期治療成績の向上と普及に伴い、心不全患者が増加しています。今後ますます心不全患者は増加すると予想されており、わが国の疫学研究では、2030年には心不全患者が130万人を超えると予測されています。慢性心不全患者の多くは増悪による再入院を繰り返すため、医療上のみならず医療経済上の大きな課題としてとらえられています。このような傾向は、わが国を含む先進国ばかりでなく世界各国で懸念されており、「心不全パンデミック」として、その対策は喫緊の課題となっています。このような問題点を抱えている心不全診療に対して対策を講じるためには、現在の診療実態を、患者一人一人に提供されている医療の内容のみならず医療施設・地域ごとの視点から明らかにする必要があります。しかし、現状では基礎資料とすべき十分な全国規模の心不全医療データベースは存在しません。
本研究の目標は、わが国の心不全の全国的な実態を反映するデータベースを構築し、その実態を明らかにするとともに医療の適切性を評価、患者さんの予後(入院や生存)を予測ための因子を同定することです。
2013年1年間(2013年1月1日〜12月31日)に日本循環器学会が指定する循環器専門研修施設・研修関連施設において心不全で入院・治療をされ、かつ「循環器疾患診療実態調査(JROAD)」で収集されたJROAD-DPCに登録された心不全患者様が、登録の対象となります。
この研究を行う際は、カルテおよびDPCデータより以下の情報を取得します。取得した情報を分析し、心不全の医療の現状を明らかにするとともに生存や入院に関連する事項(生存や入院に何か影響するのか)を明らかにします。
基本情報 |
|
---|---|
患者背景 |
|
入院後 |
|
退院時および その後の予後 |
|
研究対象者の測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者が特定できる情報を完全に削除して取り扱います。この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院循環器内科学分野において同分野教授・筒井 裕之の責任の下、厳重な管理を行います。
研究対象者の臨床情報は、個人情報が消去された形で、電子的に登録され、研究事務局(九州大学)で管理保管いたします。本研究の対象者を特定できる情報が外部に送られることはございません。
この研究において得られた研究対象者の診療情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、JROADHF研究班(研究班代表者:九州大学大学院医学研究院循環器内科学分野教授 筒井裕之)の責任の下、10年間保存します。
また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) |
| ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
研究責任者 | 九州大学大学院医学研究院循環器内科学 教授 筒井 裕之 | ||||||
その他の共同研究施設 |
| ||||||
業務委託先 | 企業名等: |
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) | JROADHF研究事務局 |
---|