JROADHFとは

The Japanese Registry Of Acute Decompensated Heart Failure (JROADHF) 研究

JROADHF研究責任者 筒井 裕之 (日本心不全学会理事長)

近年、わが国では急速に進行する高齢化、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の増加、さらに急性冠症候群の急性期治療成績の向上とともに、心不全患者が増加しています。2030年には心不全患者は130万人に上ると推定され、多くが増悪による再入院を繰り返すことから、「心不全パンデミック」として喫緊の医療課題ととらえられています。
JROADHF研究は、わが国の全国的な心不全医療の実態を反映し、かつ、各患者・施設・地域レベルの横断的かつ縦断的な分析を可能にするデータベースを構築するとともに、このデータベースに基づく全国規模の心不全診療の実態及びその適切性を示すデータを創出することを目標として、日本医療研究開発機構(AMED)「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業」の「循環器病医療の適正化に資するための、 全国大規模データベースによるエビデンスの創出」(2017〜2019年度:研究代表者 小室一成先生)として、日本循環器学会、日本心不全学会が主体となって取り組んだ事業です。
具体的には、日本循環器学会が実施している「循環器疾患診療実態調査(JROAD)」の施設から、ランダムに抽出した施設において、で2013年1月1日から12月31日の1年間のJROAD-DPCに登録されていた患者の後向きレジストリーを作成し、その後の予後を含めた解析を行いました。
得られた研究結果から、わが国の心不全の患者さんは大変高齢であり、その生存率や再入院率は高く、まだまだ医療としての取り組みが必要とされる領域であることが明らかになりました。研究結果は以下に発表しております。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/85/9/85_CJ-20-0947/_html/-char/ja


研究デザイン

多施設共同後向き観察研究

研究対象者

対象者心不全入院患者 13,238 例
選択基準2013年1年間にJROAD-DPCに登録された心不全入院患者
除外基準なし

本研究では、最終的に全国128施設の先生方にご協力いただきました。調査対象となった14,847症例のすべての症例において診療録を見直し、その中で13,238症例を心不全による入院と診断いたしました。それらすべてについて、身体所見、様々な入院中の検査結果、治療についてデータを収集し、さらに長期的な予後を追跡いただくことで、医学的診断的精度にすぐれ、また高い追跡率を誇るデータベースが完成しました。このような全国的な詳細かつ精度の高いデータベースはこれまでになく、今後は、本データベースをさらに活用し、わが国の心不全診療の発展のために新たなエビデンスの創出を目指していきます。

JROADHF研究のフロー

JROADHF研究のフロー

JROADHF研究参加施設 (全国128施設)

JROADHF研究参加施設 (全国128施設)

研究方法

参加施設にて上記基準の心不全入院患者の医療情報、予後についてEDCに入力する。(一部の入力項目は、入力支援プログラムの使用により、各施設のDPCより自動入力)